ブロックチェーンの分類
世界には様々な方式のブロックチェーンがありますので一概に分類することは難しいですが、一般的にはブロックチェーンの種類については、ブロックチェーンを支えるバリデータ(署名)・ノードの参加方法、及びエンドポイント(Endpoint)の公開性においていくつかの分類ができます。
バリデータノード(署名ノード)の参加形態による分類
- オープン・ノード方式(パーミッションレス・ノード方式)
- コンソーシアム・ノード方式
- オウンド・ノード方式
エンドポイント管理方式による分類
- パブリック・エンドポイント方式
- パーミッションド・エンドポイント方式
- プライベート・エンドポイント方式
※バリデータノードとは、ブロックに署名をするためのノードで、ブロックチェーンを支える運営ノードのことです。
※エンドポイントとは、ブロックチェーンにアクセスするための末端ノード・サーバのURLやIPアドレス等です。
イーサリアム(Ethereum)のメインネット方式はオープン・ノード方式(だれでもバリデータとして自由に参加可能)です。オープン・ノード方式は必然的にパブリック・エンドポイント方式となります。本チェーンの方式は、実証実験段階においてはパーミッションド・コンソーシアム方式であり、将来的には問題がなければエンドポイントはパブリック・エンドポイント方式にする、つまりパブリック・コンソーシアム方式となることを視野に入れているブロックチェーン・ネットワークとなります。
オープンノード方式のみをパブリック・チェーンと呼ぶこともありますが、世界のパブリック・チェーンと呼ばれているチェーンは厳密にはオープンノード方式でないものも多いため、本サイトでは誰でも利用可能なパブリック・エンドポイント方式のブロックチェーンをパブリック・チェーンと呼んでおります。
バリデータ・ノードの方式
オープン・ノード方式
オープン・ノード方式のブロックチェーンでは、一般的にだれでも自分でノード・サーバをたててブロックチェーン・ネットワークと接続することで、ブロックチェーン運営に加わることができる方式です。そのネットワークのメリットとして、特定の個人や団体・政府などにブロックチェーン・ネットワークの存在が脅かされにくいという特徴があり、ネットワークの利用においてもっとの自由度が高い方式です。特に国境を超えたコラボレーション等に最適です。パーミッションレス・チェーンと呼ばれることもあります。
多くの方が自由にネットワークに参加しやすいため、本当に便利で安全なものが作れれば大きなコミュニティ形成がしやすい方式であると言えます。さらにコミュニティからブロックチェーン・ネットワークの仕様などへのフィードバックも得られやすいため、全く新しい発想や発明が生まれやすかったり、不具合などの発見確率も高まりソフトウェアの不具合などについての知見が溜まりやすく、情報も得られやすい場合が多いです。
一方そのデメリットとして、また数多くのノード・サーバがPoWやPoSなどのコンセンサス・アルゴリズムを利用して協調しなければならないため、ブロックチェーンのトランザクション・スピードを上げることが難しいという問題もあります。コミュニティが大きくなればなるほど、仕様変更等においても意思決定に時間がかかることになります。
ビットコインや現在のEthereumメインネットが採用するPoW方式は、ある計算を早くといた人が次のブロックを作る(=トランザクションを処理し、そのトランザクションについている報酬を得ることができる)方式であるため、大きなコンピューティング・パワーを持った人が有利な方式です。そのためすでにビットコインはそのネットワークを支えるために小さな国を超えるほどの電力を消費している状況になっていると言われており環境負荷が高く、かつその方式の特徴から、51%以上のコンピューティング・パワーを特定の団体が得ることができると、ネットワークをハッキングできてしまうという問題があります。
電力消費量をへらそうと考案されたPoS(Proof of Stake)方式においては、電力消費量の問題は解消されますが、コンピューティング・パワーの代わりにステーキング(暗号資産を預け入れておく)量によってブロック報酬がもらえる確率が決まる方式のため、同様に51%以上のトークンが特定の団体に集中するとハッキングされる恐れがあります。EthereumメインネットではPoS方式を近いうちに採用することを予定しており、Ethereumメインネット程十分に大きなネットワークであれば、そのような問題は現在のところ確率的にほぼ発生しないと言えますが、規模の小さなブロックチェーン・ネットワークでPoSを採用することは大きなリスクを伴います。
コンソーシアム・ノード方式
コンソーシアム・ノード方式のブロックチェーンとは、バリデータとなるために既存のValidatorの承認が必要となるブロックチェーン・ネットワーク方式です。Japan Open Chainはこの方式を採用しており、バリデータとなるためには既存のバリデータの過半数の承認が必要となります。オウンドノード方式と合わせてパーミッションド・チェーンと呼ばれることもあります。世界ではブロックチェーン・ゲーム向けチェーンなどでよく採用されております。
この方式メリットとしては、バリデータの数が少ないためガバナンスが効きやすく、ブロックチェーン・ネットワークの将来構想などについての意思決定が迅速にできたり、トランザクション量をコントロールできたり、またブロックチェーンに問題が発生した際にも迅速に対応しやすい方式です。運営者の顔も見えやすいためサポートを受けやすく、バリデータノードの数が少なくアルゴリズムもシンプルであるため、トランザクション速度が出やすい方式となります。エンドポイントをパブリック・エンドポイントにすることでパブリックチェーンとしても利用できますし、エンドポイントをプライベートにしたり、パーミッションドにしたりすることで、匿名性を高めたり、特定の用途に特化したブロックチェーンなどを構築する際にも便利な方式です。
一方、デメリットとしては、特定のバリデータに権限が偏るため、オープン・ノード方式に比べガバナンスが強く働く傾向にあるため、利用者からすると自由度が制限される可能性があります。また運営者が所属している国の法的影響が大きいため、規制に反したプログラムを動作させることなどが難しくなります。ガバナンスが効きやすい反面、ブロックチェーン・ネットワークの将来的な方向性について民主主義的な自由度がある程度失われることになります。PoA方式においてはバリデータの過半数がハッキングされるとネットワークが乗っ取られる恐れもあるため、運営者が誰であるのかを理解しないで利用するべきではありません。
オウンド・ノード方式
オウンド・ノード方式のブロックチェーンとは、1社ないしは1個人ですべてのバリデータ・ノードを専有している方式です。世界ではバイナンス・スマートチェーンなどが採用しております。
この方式のメリットとしては、1社で完全にブロックチェーン・ネットワークの方針を決めることができるメリットがあります。それではブロックチェーンではないリレーショナル・データベースと何ら変わらないではないかという議論が起こることもありますが、同じ会社内でもグループ会社同士でデータ共有したいケースや、エンドポイントをパブリックにすれば外部からの監査性も高まり、帯域幅も独占できるため、独自の決済網やトレーサビリティ・プログラムを動作させたい場合などには最適です。純粋にデータベース・ソフトウェアとして見た場合にも、Ethereum互換であればEthereumコミュニティの作り出したソフトウェアを利用することができるため、目的によってはリレーショナル・データベースでアプリケーションを構築するよりも早くて安価にシステム構築できる場合があります。
プライベート・エンドポイントにすれば匿名性も高まるため、匿名性が必要なシステムだがEthereumコミュニティの恩恵を受けたい場合や、社内で密かに開発しているパブリック・チェーン向けのプログラムのステージング環境を構築するなどの際にも、最適な方式となります。
一方、デメリットとしては1個人や1社にすべての権限が集中していることが上げられます。チェーンをやめることが決定されれば、誰かにチェーンを譲らない限り全てのデータが失われることになりますし、セキュリティも1社に依存するため、ハッキングなどのリスクはより高まります。
エンドポイントの方式
パブリック・エンドポイント方式
世界中に向けてインターネットでエンドポイントが公開されているブロックチェーン・ネットワークのことを指します。
パーミッションド・エンドポイント方式
ブロックチェーン・ネットワークにアクセスするためには、ブロックチェーン・ネットワーク参加メンバーの承認が必要なブロックチェーン・ネットワークのことを指します。
プライベート・エンドポイント方式
エンドポイントが公開されていないブロックチェーン・ネットワークのことを指します。